不動産投資はどの時点で『儲かった』と判断すれば良いのか?

不動産投資はどの時点で『儲かった』と判断すれば良いのか?

不動産投資の基礎知識
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将来に向けた資産形成を目的にここ数年で一気に始める人が増えた不動産投資ですが、実は、人によって相性の分かれる投資です。

相性が分かれる理由は、不動産投資が、投資家によって儲かるか、儲からないかの判断が分かれる為であり、これはネット上でも良く議論になる部分です。面白い点が、不動産投資は、同じ投資結果を得ることが出来たとしても投資家によって「儲かった」と言う人と「儲からない」と言う人がいます。不動産投資の「儲かる」とは一体どういうことなのでしょうか?

今回は、その「不動産投資において儲かるとはどう言うことなのか」をテーマに不動産投資における「儲かる」の判断基準について解説します。これから不動産投資を始めたい人、または既に初めている人にも是非、参考にして欲しい内容です。最後まで読めば、不動産投資の考え方が変わるかも知れません。

そもそも不動産投資ってどんな投資?

不動産投資とは、所有する不動産を自分以外の誰かに賃貸(貸す)ことで家賃収入を得る投資であり、別名「不動産賃貸経営」と呼びます。

賃貸経営と言うだけあって株式や外貨投資のような資産運用型の金融商品とは違い、賃貸物件を商品に賃貸事業を展開する不動産投資は経営的な側面が強く、投資家は立派な経営者です。よって不動産投資家は、経営者としての考え方が重要になり、実際、不動産投資で成功している人は、経営者としての目線を持って投資をしています。金融商品のように投資をある意味「賭けごと」と捉える人は、不動産投資はあまり向いていません。

値動きが少ない分、不動産は価値が急激に変動するリスクは少なく、しっかりと入居者を確保できれば、安定的で堅実な投資が出来ると言う魅力(メリット)があります。

不動産投資の収益はインカムゲインとキャピタルゲイン

「不動産投資が儲かるか?」と言うテーマにおいて不動産投資の収益となるものは何かを理解することは大切です。結論から言うと不動産投資における収益となるものにはインカムゲインとキャピタルゲインがあります。

不動産投資のインカムゲインって?

インカムゲインとは、株式投資における配当金の意味を持つ言葉でもありますが、不動産投資においては、家賃収入に当たります。

不動産投資は、先述したように所有する不動産を賃貸することで家賃収入を得る投資ですが、不動産を賃貸したまま所有し続けると継続的に家賃収入が入ってきます。この資産を保有している間は、継続的に入ってくる収入のことをインカムゲインと言います。逆に言うと保有している資産(不動産投資の場合は不動産)を手放してしまうとインカムゲインは入ってきません。

不動産は、一般的にインフレ(物価上昇)に強いと言われる投資です。インフレ時には、不動産価格が上昇し、場合によっては売却して現金化してしまうこともありますが、物件を売却してしまうことは、インカムゲインを失うことを意味します。

不動産投資のキャピタルゲインって?

キャピタルゲインとは、資産を売却することで得られる収益のことです。

株式や外貨などの金融資産、不動産などの現物資産において資産価値が上昇している際に売却し、キャピタルゲインを得ることは投資における一般的な手段です。特に不動産投資は、インフレ対策の為に始める投資家も多く、そういった投資家は、キャピタルゲインで収益を得ることを投資の大きな目的としています。

キャピタルゲインは、インカムゲインとは違い、物価変動に左右される為、投資を始めたからと言ってすぐに得られるものではありません。ただ、将来的に不動産の価値がどう変化していくのかと言う視点を持って物件を選定することは、投資家として重要であり経営者としての手腕が問われる部分です。

また、不動産投資が儲かる投資なのかを考える上でもキャピタルゲインは重要なポイントですので、インカムゲインと合わせて理解しておきましょう。

不動産投資の初心者がよく間違える儲かることの判断基準とは?

一般的に儲かると聞くと「お金が一気に増える」ことや「収入が大きく増える」と言うようなイメージをする人が多いです。

ただ、余程大きな手元資金が無い限り、どんな投資でもそうですが、お金が一気に増えることや一度に大きな収入を稼ぐことは出来ません。要は、「うまい話はない」と言うことです。インターネットやテレビ等、メディア上では、成功した人でも失敗した人でも極端な例が出回ることが多いです。

ここでは、不動産投資の初心者がよく間違える儲かることの判断基準について紹介しますが、どれも不動産投資の全体像をつかめておらずメリットやリスクが理解出来ていません。不動産投資を検討している人であれば多くの人が当てはまる内容ですので、是非参考にしてください。

間違い事例① ローンの完済後の家賃だけが儲けと考えてしまう

不動産投資は、ほとんどの投資家が、銀行からの融資を受けて物件を購入し投資をスタートします。

不動産投資におけるローンは、住宅ローンではなく事業用ローンに当たりますが、不動産投資であれば数千万円規模の事業融資を会社員でも活用することが可能です。ただ、不動産投資において家賃収入から毎月のローン返済と運営コストを差し引いた手残り(キャッシュフロー)は、実は、あまり多くありません。

不動産投資家の中では、「何千万円と言うローンを組んで毎月の収入がこれだけなのか」と言う人も多く、これが不動産投資は儲からないと言われる大きな理由となっています。ローンの返済が終わってはじめて不動産投資は、儲かると思っている人も多いですが、不動産投資における儲けの部分は、何もキャッシュフローだけではありません。

住宅ローンの支払いは、すべて自分の財布から出す必要がありますが、不動産投資の場合、ローンの支払いを入居者からの家賃収入で行うことが出来ます。

このように不動産投資は、銀行融資と家賃収入と言う二つの他人資本で資産形成が出来るとても合理的な投資であり、資産形成がされた部分は、目には見えませんが儲かっていると言えます。ローンの返済後は、もちろん家賃が満額で入ってくる為、儲けは増えますが、そこに至る過程でも十分儲けはあると考えるべきで、ローンの完済を念頭に置いてしまうと投資のスピードがおそくなってしまうので注意が必要です。

間違い事例② 物件を売却した時に初めて儲けたと考えてしまう

不動産投資は、インフレになるとより力を発揮する投資です。

インフレになると不動産の資産価値が上がることが多いため、売却することでキャピタルゲインを得ることが出来ます。

不動産投資の初心者は、このキャピタルゲインによって不動産投資の儲けを考える人も多いです。確かにインフレ時に物件を売却したことで一儲け出来たと言う投資家は、たくさんいますが、投資家全体の中で言うとケースとしては一握りです。

特に銀行融資を活用しているケースでは、仮に売却によりキャピタルゲインを得られたとしてもローンの残債を返済すると多くの利益は望めないケースがほとんどです。またインフレ時に所有している物件の価格が、必ず上がるかと言うと一概にそうでも在りません。

不動産は、立地や土地の大きさと形、接道状況等、色々な要素で価値が変動する資産です。キャピタルゲインを狙った投資は、景気や時代のニーズ、金融市場の動向など不透明な部分が多く、特に初心者が考えるのはかなりハードルが高いです。

特に銀行ローンを活用した不動産投資の場合、更に収益化するハードルが上がりますので、売却益は、あくまで結果論であると理解しておきましょう。

ローンを使った不動産投資では、キャッシュフローが出た事を儲かったと判断して良い。

不動産投資は、銀行ローンを活用するケースが多いですが、借入を前提に考えると、キャッシュフローがプラスであれば、投資としては成り立っています。物件によって違いますが、キャッシュフローは、頭金を投入することや繰り上げ返済をすることで、大きくなります。ただ、不動産投資は、先述したように他人資本で投資が出来ることが強みであり、手元資金を出来るだけ使わずに運営していくことが大切なポイントになります。

銀行ローンについても可能な限り借入を行い、レバレッジをかけた投資をしていくことが不動産投資のメリットを最大限に活かすことが出来る方法です。従って、ローン完済までの過程でキャッシュフローがプラスであれば投資として儲かっていると考えるべきなのです。

一般的な不動産投資は、100%現金で行う不動産投資とは分けて考えるべき

一般的な借入を使った不動産投資は、現金100%の投資に比べるとキャッシュフローが伸びず、投資としてのうまみを感じにくい為、やはり不動産投資は、富裕層の投資であると感じる投資家もいます。

現金で行う不動産投資は、初めから満額の家賃がそのまま手元に残るので魅力的に映るかも知れません。借入もしない為、返済リスクが無い点もメリットです。

しかし、一般的な人が行う投資の場合、現金を貯めるまでは、そもそも投資自体スタート出来ないと言う致命的なデメリットがあります。追加の物件を購入するにしてもまた同額の資金を貯める必要がある為、規模の拡大も非常に遅くなります。その為、手元資金で行う不動産投資は、かなりの資金的余裕がある人向けの投資となり、投入資金が多いと回収率が低くなる為、資金効率が非常に低い投資となります。リスクが低いのが一番のメリットになりますが、一般のサラリーマン等の投資としての合理性を考えると手元資金のみでの不動産投資は、あまりメリットがないと言えます。

もちろん、借入前提の不動産投資が必ず成功法であるとは言えませんが、合理性の観点からするとメリットは大きいです。よって、借入をする不動産投資は、仮にキャッシュフローが小さいとしても投資としては、優秀であり、100%現金で行う不動産投資とは分けて考えるべきです。

不動産投資利益の計算方法

不動産投資でいくら儲かったのか?

ROI(投資総額に対してどのくらいの利益がでたか)という指標で簡単に計算する方法があります。

ROI=年間キャッシュフロー÷購入総額(物件価格+諸費用)×100

自己資金で投資を行った場合

例えば、購入総額5000万、利回り10%(=年間家賃500万)、経費50万/年間の物件を全額自己資金で投資した計算をすると

ROI=450万円(年間家賃-経費)÷5000万円×100=9%

となります。

これは、借入も含めた総額に対してどの程度の利益を得られたかを表しています。

この式では、借入も自己資金も一緒になっていますので、もう一つCCR(自分の資金に対してどれくらいの利益が出たか)という値を使います。

CCR=年間キャッシュフロー÷自己資金×100

上記の事例を全額自己資金で行った場合

CCR=450万円(年間家賃-経費)÷5000万円×100=9%

となり、全額自己資金での投資ですので当然ROI=CCRとなります。

融資を受けて投資を行った場合

仮に、この5000万円の2000万円のみを自己資金として、残りの3000万円(ここでは分かりやすく年間100万円の30年払い・金利無視で計算しますが実際にはもっと複雑になります)は融資を受けて投資を行ったとして計算してみましょう。

ROI=350万(年間家賃ー経費ー返済)÷5000万円×100=7.5%

CCI= 350万(年間家賃ー経費ー返済) ÷5000万円×100=17.5%

ROIは返済分があり減少しますが、これに対して、CCRは9%から17.5%に増加します。つまり、借入を行った事で、自分の手持ちの現金に対しての利益が倍近くに増えたと考えます。

忘れてはいけない、投下資金をいつ回収できるかの計算

一見、自己資金で行った方が良い様に感じる不動産投資も、融資を加える事で手元の資金を効率よく増やす事が可能になります。ここまでは利益の概念のみを説明いたしましたが、もう一つ忘れてはいけない事があります。時間です。投下した資金はいつ戻ってくるのかです。

回収期間=自己資金÷年間家賃

で求められます。上記の事例を当てはめると、

100%自己資金での投資:5000万(自己資金)÷450万(年間家賃ー経費)=11.1年

一部融資を受けて投資: 2000万(自己資金) ÷ 350万(年間家賃-経費ーローン返済)=5.7年

となり、約半分で回収出来てしまいます。自己資金は次の投資への体力となりますので早く回収できるに越した事はないのです。そのため、現金が有り余って用途に困っている場合の投資と、限られた資金を増やす投資では考え方を変える必要があるのです。

借入を含めた不動産投資自己資金のみでの不動産投資
投資スピード速い遅い
自己資金回収スピード速い遅い
自己資金に対する利益多い少ない
金利リスクありなし

まとめ

今回は、不動産投資が儲かる投資なのかと言う点に焦点を当てて解説しましたが、如何でしたでしょうか?

年金制度の問題や終身雇用の崩壊により将来に向けた資産作りの観点から注目されている不動産投資ですが、投資としての評価は人によって様々です。

株などの金融商品と違い、儲かることの基準が人によって違う点がポイントになりますが、そもそも投資としての特徴や強みを理解している人があまり多くありません。投資である以上、リスクがある為、それ以上のリターンを求めたくなることは投資家としてある意味当然と言えます。

しかし、投資としての特徴や強みをしっかり理解出来ていない状態では、成功する可能性は低いと言えます。また、継続していれば良い方向にいったと言う機会損失につながる可能性もあります。

不動産投資は、しっかりと運営していけば、リスクとうまく付き合うことが出来、安定的で健全な経営が出来る投資です。不動産投資の特徴や強みなど本質的なポイントを理解し、前向きに不動産投資を進めていける投資家になる事をおすすめします。

間違ったうわさや情報に流されず、不動産投資の本質を理解し、リスクヘッジをしながら安定的な投資をすれば不動産投資は、高い確率で成功するのです。

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