サラリーマンが不動産投資をする場合に気になるのが、会社が副業を禁止している場合です。まず不動産投資は副業に該当するのかどうか、そして就業規則で副業を禁止していたら規則違反となり罰則を受けるのかが気になります。そこで今回は不動産投資は副業になるのか、もし会社が副業を禁止していたならバレない方法があるのか不動産投資を法人化するケースも含めて詳しく説明します。
そもそも不動産投資は副業なのか
サラリーマンが不動産投資をした場合、何かしらの不都合があるのかを考えてみましょう。まずは不動産投資が副業に該当するのかがポイントになります。
結論から言うと、不動産投資は副業に当たるとは言い難い、となるでしょう。
少なくとも会社で禁止する副業の定義は次のようなものとなります。
・本業の業務に差し支える
・会社の情報漏洩の危険性がある
・会社への損害につながる
不動産投資はこのいずれにも該当しないので、会社の就業規則で禁止する副業にはあたらないと考えてよいでしょう。
会社で副業を禁止していたら不動産投資は違法?
会社が広義の意味で副業を禁止している場合、不動産投資が該当する可能性はあります。広義の意味での副業とは、その手段にかかわらず会社での就労以外で収入を得ることを示します。この場合は不動産投資は会社の就業規則違反に該当することになりますが、決して違法ではありません。
そもそも個人には「職業選択の自由」が保証されており、国は副業することを推奨しています。もし会社が副業禁止の就業規則違反により解雇するようなことがあれば、そちらのほうが法律違反にあたる可能性があります。とはいえ就業規則に違反すれば何かしらの懲戒処分を受けることになるでしょう。
副業による就業規則違反は会社へ損害を与えるようなものではないので、重大なものとはなりえません。そのため就業規則違反による懲戒処分の内容としては、減給や降職・降格といったものになると考えられます。また不動産投資による収入は不労所得であると判断されれば、就業規則で副業を禁止していても認められる場合があります。
ただし不動産投資で運用する物件が「5棟10室」以上となれば事業規模となり、副業と認定される可能性があります。
法人化は大丈夫か?
就業規則で副業の規制がなければ、不動産投資をすることは問題ありません。また法律上でもサラリーマンが不動産投資を法人化することは禁じていません。
ただし会社が副業を禁止していれば、不動産投資を法人化した場合も罰則の対象となる可能性があります。あるいは副業を禁止していない場合でも、法人設立を禁止するケースがあるでしょう。
いずれにしても勤務する会社の就業規則をよく確認しておくことが大事です。不動産投資を法人化するメリットは、不動産所得が高額になった時の税金を安くできることです。不動産所得を個人の役員報酬と法人所得に分散することで、法人税率を引き下げることができます。不動産所得がある程度の額になった場合は、法人化を検討するとよいですが、不動産所得が少ない場合はサラリーマンが法人化するメリットはさほどなく、会社にバレる確率が高くなりますので、慎重に行う事をおすすめします。
不動産投資が問題になるケース
会社が就業規則で副業を禁止していなくても、不動産投資をすることで問題になることがあります。たとえば賃借人がつかずに家賃収入が得られず、物件購入のための借入金を返済できない場合には自己破産する可能性が考えられます。
基本的には自己破産をしても、会社での業務に影響はありません。自己破産をしたことが会社に知られることはありませんし、仮に会社が知ることになっても解雇などの処分はされないからです。ただし士業や金融関連業など、一部の職業では影響が出る場合があります。業務に必要な資格が一定期間ですが制限を受けることもあるので注意が必要です。
上司が良く思わないと問題になる?
副業を解禁する会社が増えていますが、上司のなかには、部下の副業を快く思わない人もいることでしょう。部下が自分よりも稼ぐ事をよく思わない上司は結構多いものです。この様な感情は余計なトラブルを呼んでしまう事があるので、副業を禁止していない会社であり届出が不要であれば、わざわざ不動産投資を行っている事を言って回ったり自慢したりすることは慎んだ方が良さそうです。
不動産投資が会社にバレる原因
不動産投資をしていることを内緒にしていても、会社にバレる原因がいくつかあります。
住民税が変わることでバレる
不動産投資をして得られる所得は「不動産所得」ですが、その額が20万円を超えたらサラリーマンは確定申告をしなければなりません。そして所得税とともに住民税も会社の給与から得られる所得分よりも増えます。あるいは不動産所得がマイナスとなれば、やはり確定申告をして節税をします。
その際には住民税が本来の税額よりも少なくなります。その住民税を会社の給与から源泉徴収という形になるので、不動産投資をしていることが会社にバレます。不動産投資での不動産所得がマイナスとなった(収入より経費が多い)場合、住民税は本来の納税額よりも少なくなります。
そのため会社にその旨を記す書類が送られるためバレることになります。確定申告をしないとバレる可能性がある不動産所得が20万円を超えているにもかかわらず確定申告をしないと、あとで税務署から通知が送られてきます。そして無申告による追加徴税などが発生しますが、納付しなければ会社に問い合わせがいく場合があります。これは税務署からの通知に対して何もアクションを起こさない場合の最悪のケースなので、税務署から無申告に関する問い合わせが来たら、すみやかに対処しましょう。
不動産投資の法人化によりバレる
不動産投資を法人化した際に、役員報酬を受け取ると社会保険への加入が必要になります。そして社会保険料は会社からの給与と法人からの報酬を合算し、それぞれの報酬月額の割合から按分して算出します。つまり会社に年金事務所から給与に関する問い合わせがあるので、法人を設立していることがバレるということです。
この対策としては、無報酬にすることで回避できます。ただし会社側で登録された登記簿謄本を調べた時に、法人の住所と自分の住所が同じであれば会社にバレてしまいます。わざわざ会社がそこまで調べることはないでしょうが、可能性としてゼロではありません。
不動産投資が会社にバレないための方法
サラリーマンが不動産投資をしても会社にバレないための方法を説明します。
住民税は普通徴収を選ぶ
まず不動産所得が20万円を超える場合には、必ず確定申告をしましょう。そして確定申告書を作成する際には、住民税の納付方法を必ず「自分で納付」に丸をつけておきます。これで税額が変わる住民税を会社の給与から天引きされず、不動産所得により増えた分だけを自分で納付できるようになります。会社へ通知がいくこともないので、不動産投資をしていることがバレることはないでしょう。ただし不動産投資による不動産所得をマイナス申告する場合には、会社に減税になる旨の通知が届くので注意が必要です。
法人化する場合には自分は報酬を受け取らない
不動産投資はその規模にかかわらず法人化できます。しかし法人化には役員が必ず1人は必要ですし、サラリーマンが法人設立する場合はたいてい、自分が役員になります。そして不動産投資による利益から役員報酬を受け取ると会社に通知が届いてしまうため、副業をしていることがバレてしまいます。
そこで、役員報酬をゼロとすることで会社にはバレないようになります。ただしこの場合、法人税の負担が増えるので家族を役員として報酬を出す方法があります。役員となった家族は社会保険に加入するので、将来の年金を増やすことも可能です。もちろん家族は役員報酬を受け取るにあたり、不動産投資にかかわる何らかの業務を行うことは必要になります。
法人化する場合の住所は自宅とは別にしておく
不動産投資を法人化するにあたり、その住所を自宅と別にすることで会社にバレることを回避できます。さらに法人の代表者を自分ではなく、配偶者等にするとさらに会社にバレる可能性は低くなるでしょう。なんらかの理由で法人化した会社の登記簿謄本を会社側に見られた時(登記簿謄本は誰でも閲覧出来ます)に、自分とのつながりをなくすことでバレることを防ぐことができます。
まとめ
不動産投資で得る家賃収入は不労所得なので、そもそも副業には該当しないという考え方はあります。しかし会社の就業規則で副業をどのように定義しているのかにより、不動産投資が副業とされる場合もあります。そのため、まずは会社の就業規則を確認すること、そして確定申告などできる範囲の対策は行っておくことが大切です。