資産形成のために不動産投資がサラリーマンに人気です。しかし不動産投資には失敗しないために注意すべきことが数多くあります。そこで今回は、サラリーマンが不動産投資で失敗しないためのチェックポイントをご紹介します。事前に確認しておくことで、物件を購入してから後悔することもなくなるでしょう。
会社の就業規則を確認する
サラリーマンは不動産投資をする前に、まずは自分の会社の就業規則を確認しておきましょう。副業を禁止している場合、不動産投資が規則違反に該当する可能性があるからです。
不動産投資で得る不動産所得は不労所得なので、正確には副業にあたらないと考えられます。しかし就業規則によっては、その方法にかかわらず給与以外の収入を副業によるものと定めるケースもあります。
副業を禁止されているにもかかわらず不動産投資をすると、何かしらの理由により会社にバレる可能性があるので注意しましょう。また副業を禁止していなくても、法人設立は禁止している場合もあります。
不動産投資の規模が大きくなると、税金の負担を減らすために法人化も考えるようになります。そのため会社の就業規則はしっかりと把握して、不動産投資をしても問題がないかを確認しておくことが大切です。
物件規模を想定する
サラリーマンが不動産投資で失敗しないためには、自分が購入できる物件規模を想定したうえで運用計画を立てることが大事です。
不動産投資ローンは事業ローンとなるため、物件の収益性と自身の属性の評価により融資限度額が決まります。目安としては年収の7倍から10倍とみておくとよいでしょう。
たとえば年収500万円のサラリーマンがその7倍の融資を受けられるとすれば、購入できる物件は3500万円になります。頭金を入れたらさらに高くなるでしょう。
この金額で購入できる物件は何かを想定しなければなりません。たとえば都心部であればワンルームマンションを1戸購入できるでしょう。アパートは難しいかもしれませんが、郊外であれば、安い中古のアパートが購入できるかもしれません。
この場合、ワンルームマンションであれば毎月のキャッシュフローを黒字にするのか、それともローンを完済してからの安定収入を目指すのかによっても運用計画は異なります。さらにアパートを運用するとなれば、修繕費もかかるので資金計画を練らなければなりません。
このように自分が購入できる物件の規模がどの程度になるのか、そしてその運用計画をどのように立てるのかを考えることが大切です。
運営開始までの費用を見積もる
不動産投資は物件購入のために借りたローン返済を家賃収入で補うという運用スタイルになります。しかし実際には、運営を開始するまでに必要な費用が発生します。
頭金の検討
不動産投資は物件を購入する際に融資を受けますが、フルローンにするか頭金を入れるかの選択肢があります。属性が良く物件の評価も高ければ、頭金を入れずにフルローンを組むことも可能です。
しかしフルローンにすると毎月の返済額が増えるため、空室リスクを考えると少しでもローンは少なくしておきたいものです。あるいは属性が低いと頭金をある程度は求められるようになります。
ローンを借りる金融機関から求められる場合には、必要な頭金を入れざるを得ません。しかしフルローンを借りられる属性があれば、自身でどの程度の頭金を用意すればよいのか迷うことでしょう。目安は空室リスクも考慮して毎月のローン返済を家賃収入で賄える程度とすれば、失敗するリスクも軽減できるでしょう。
物件購入にともなう諸費用はどんなものがある?
不動産投資用の物件を購入する際には、頭金のほかにも次のような諸費用が発生します。
- 不動産会社への仲介手数料(中古物件の場合)
- 司法書士報酬
- 不動産取得税などの税金
- 団体信用生命保険
- 損害保険料
ただし上記のうち、仲介手数料のほかは最初の確定申告時に経費として計上できます。
頭金のほかにこれらの諸費用も必要になることを知っておきましょう。
空室時のローン返済資金
不動産投資には空室リスクがつきものなので、最初にローン返済のためのキャッシュをある程度は用意することも大切です。特に物件を購入してから賃貸づけをするならば、数カ月は空室となることを想定しなければなりません。
家賃収入がなければ物件のローン返済は自腹で行います。そのため自宅の家賃あるいはローン返済とは別に不動産投資用物件のローン返済が重なると、負担はかなり大きくなります。
また購入時には賃借人がいても、退去すればすぐに次の賃借人がつくとは限りません。さらに内装工事費用も発生するため、ある程度のキャッシュは用意したほうがよいでしょう。
リフォーム費用
不動産投資は中古物件を購入して賃貸需要に合うようリノベーションすることもできます。この場合にはリフォーム費用も必要です。
リノベーションは単に内装を綺麗にするだけではなく、設備の入れ替えや間取りの変更をする場合もあります。そのため、単なるリフォームよりも費用がかかるのが特徴です。
リフォーム費用を現金で支払うのか、あるいはローンに組み込めるのかによって資金計画は変わります。ローンに組み込む場合には、毎月のキャッシュフローを計算しなければなりません。
投資しやすい立地を選ぶ
不動産投資は物件の管理を管理会社に委任します。それを踏まえて、投資しやすい立地を選ぶことが失敗しないためには必要です。
遠くても賃貸需要が多い都市部
不動産投資で大事なことは、いかに空室リスクを抑えて収益性を高めるかということです。そのためには賃貸需要が多い都市部の物件を選ぶ必要があります。もし都市部から離れた地域に住んでいるのであれば、遠く離れた物件を購入することになります。
この際に大事なことは、安心して管理を任せられる管理会社を選ぶことです。ほぼすべてを丸投げにするので、しっかりと賃貸づけができる管理会社を選ばなければなりません。
人口が増加傾向にあるエリア
都市部といっても場所はさまざまですし、購入できる価格帯の物件がなければ検討することもできません。そこで優先すべきは人口が増加傾向にある場所です。たとえ物件価格が安い地方都市であっても、人口が増加していれば賃貸需要が見込めます。
たとえば製造業が多い地方都市では外国人が集まるなど人口の増加がみられます。少子高齢化が進んでもこのように賃貸需要が見込めるエリアで物件を選べば、失敗するリスクは少なくなります。
自主管理するなら近場で
もし信用できる管理会社が見つからなければ、不動産投資用の物件は自主管理ができる近場で探すことになります。この場合には賃貸需要があるエリアであること、さらにその需要に合った物件を選ぶことが大事です。
賃貸物件は管理が行き届いていないと、賃借人がなかなかつきません。そのため休日には掃除などができるような近場で物件を探す必要があります。
不動産投資の自主管理は避ける
近場で自主管理ができる物件を探す方法もありますが、できればこれは避けたいものです。サラリーマンが自主管理をするとなれば、休日はその作業に追われるからです。
また賃借人への対応など、普段から対処しなければならない雑務が多くあります。対応が遅ければ賃借人の不満につながりますし、退去する可能性もあります。そのため、できる限り管理のプロである管理会社に任せることが、不動産投資で失敗しないためには必要です。
手のかからない物件を選ぶ
サラリーマンが不動産投資をする場合には、本業に差し支えるようなことは避けなければなりません。そのためには、手間のかからない物件を購入することが大事です。
修繕の必要がない物件
不動産投資のための物件には実にさまざまなものがあります。新築から築浅、そして築年数が古いものなど選択肢は多いものです。このうち、築年数が古く安い物件を修繕して運用しようとすると手間がかかります。
築年数が古い物件は設備が古く、間取りも生活しにくいものがあります。それを賃借人がつきやすいように修繕するとなれば、単にリフォームするだけでは不十分です。とはいっても管理会社に丸投げしては、賃借人がつきやすい魅力ある部屋になるかどうかわかりません。
そこで価格は高くても賃借人がきちんとつくような物件を最初から購入することが大事です。特に不動産投資をこれから始めるサラリーマンは、失敗しないためにリフォームなどが不要な物件を購入するようにしましょう。
高利回り築古物件は慎重に検討
高利回りの築古物件は数字的には魅力的です。ただ、どうしても修理等のクレームが発生しやすくなりますので、 初めて不動産投資をするサラリーマンは避けたほうが無難かもしれません。とはいえ、少額の費用で大きな利益を狙える可能性がある築古物件はやってみたいものです。
まとめ
サラリーマンが不動産投資を始めるにあたり、失敗しないために考慮すべきことは多くあります。これらを念頭に置いて物件選びなどを行えば、失敗する可能性は低くなります。大事なことは空室リスクを避けて本業に差し支えないよう手間のかからない物件を選ぶことです。さらに資金的に余裕を持つため、事前にどの程度のキャッシュを用意すればよいのか把握しておくことが大切です。